CPUでは6コア製品を拡充へ
話をCPUに移すと,AMDは,6コア製品をさらに拡充することで,競争力を高めていく。
具体的には,「Phenom II X6」に,「1035T/2.6GHz」と「1075T/3.0GHz」を追加していくほか,Phenom II X6の発表会でも明らかになった,「Phenom II X4」のAMD Turbo CORE Technology(以下,Turbo CORE)対応版となる「960T/3.0GHz」も,順次市場投入していく構えだ。
このうち,Phenom II X4 960Tは,「Zosma」(ゾスマ)コアを採用した初の製品になる見込み。半導体そのものは,Phenom II X6で採用される「Thuban」(トゥバン)コアと共通のようだ。
マザーボードベンダー関係者は,「AMDはTubanコアの投入を機に,歩留まりが悪い現行のPhenom IIシリーズを収束させ,メインストリーム製品を『Propus』(プロパス)コアのAthlon IIシリーズに切り替える計画だ」と証言する。確かに,AMDがパートナー企業に示しているロードマップを見ると,Turbo COREをサポートした上位モデルに新製品の予定がなく,逆にAthlon IIでは,第3四半期に「Athlon II X4 645/3.1GHz」や「Athlon II X3 450/3.2GHz」,「Athlon II X2 265/3.3GHz」が投入される予定になっていたりする。
AMDのデスクトップPC向けCPUロードマップ
このラインナップ整理により,AMDのCPUビジネスにおける収益性は改善されると見られるが,自作ユーザーにとっては,Phenom II X3&X2のコアを“アンロック”して,Phenom II X4として使うといったアプローチが,少なくとも低価格モデルでは使えなくなる可能性が高いということでもある。AMDファンは複雑な思いをすることになるかもしれない。